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ポスト“カメ止め”!? 上映館拡大中の注目映画『セブンガールズ』のクセになる“生っぽさ”

昨年SNSを中心にじわじわと口コミが広がり、瞬く間に世の中を席巻した映画『カメラを止めるな!』(通称・カメ止め)。撮影予算は300万、キャストは無名俳優のみ、たった2館の上映からスタートした小さな映画は今や全国300館以上に上映館が拡大、公開から200日以上経った今もなお各地で上映されているほど、異例の大ヒットを巻き起こしました。

“カメ止め”の成功によりミニシアター発作品への注目も高まりつつありますが、今回、思わずポスト“カメ止め”!?と教えたくなってしまうような注目作品を紹介します。

映画『セブンガールズ』 “カメ止め”との共通点

その映画は『セブンガールズ』。
夢を持つことも、希望を持つことも、恋をすることさえも贅沢だった終戦直後の物語。アメリカ軍の支配下にあった東京で、世間に虐げられながらも、生きるために娼婦小屋で身を寄せ合う10人の女性たちの心模様や力強さを鮮明に描いています。

映画「セブンガールズ」s-main

もともとは、漫画『かぶく者』作者としても知られるデビッド宮原率いる小劇団「劇団前方公演墳」によって2004年から公演されている同劇団の代表作であり、2015年までの間に4度の再演を重ねた人気作品です。劇団の旗揚げ20周年という節目に、舞台を飛び越え映画作品として新たに生まれ変わりました。

同作品は、2018年9月に初めて新宿K’sシネマで限定一週間上映を行い、全6回が満員御礼の盛況ぶり。奇しくも“カメ止め”と同じ映画館からの封切でした。
同年12月には都内再上映が実現、その後関西地区に進出。徐々に再上映館数を増やし、1月26日からは名古屋シネマテーク、そして2月2日からは再び東京に戻り、下北沢トリウッドで1週間の上映が決定しています。(※2月4日追記  さらに1週間延長が決定し、2月15日(金)まで公開します)既にリピーターファンも多く獲得しており、今後も上映館数の広がりが期待できそうです。

映画「セブンガールズ」s-dances-Girls

探ってみると、映画館以外にも面白いほどに“カメ止め”との共通点がありました。

クラウドファンディングによる、予算300万円の短期間撮影

“カメ止め”はENBUゼミナールで行われていたワークショップの一環で製作されたもので、製作資金300万円はクラウドファンディングによって集められました。『セブンガールズ』もまた、同じクラウドファンディングサービスを活用し、同じく300万円を募り映像化を実現。撮影期間は、“カメ止め”よりも3日間短い5日間でした。

原案は舞台作品。長編初監督に、無名俳優たち

“カメ止め”の原案は、小劇場作品の舞台『GHOST IN THE BOX』。『セブンガールズ』も先述した通り、自身で上演してきたオリジナルの小劇場作品です。“カメ止め”上田慎一郎監督も、『セブンガールズ』のデビッド宮原監督も、長編作品は初の試み。俳優たちも、“無名”でした。

映画の封切は新宿K’sシネマから。そして“再上映”へ

“カメ止め”の快進撃を紹介する際、上映は2館からのスタートといわれることが多いのですが、実はそれは“再上映”時のもの。実際はヒットの1年前、2017年に新宿K’sシネマで全6回の限定上映が封切でした。
『セブンガールズ』も“カメ止め”同様に、新宿K’sシネマ発。再上映を経て、上映館拡大の軌跡を辿りつつあります。

気になるあらすじと、見どころを紹介

そんな『セブンガールズ』、ここからはあらすじと具体的な見どころを紹介します。

あらすじ

舞台は終戦直後の東京。戦災孤児や戦争未亡人、行く当てのない8人の女たちが娼婦小屋に身を寄せ合い懸命に生きていた。仲間の誰かが落ち込んだとき、辛いとき、彼女達は歌った。いつかやってくるはずの明日を信じて……。
そんな日々の中、女たちを取り巻く男達の思惑が交錯し、彼女たちの運命は思わぬ方向へ動き出していく。とっくに捨てたはずの幸せ、あるはずのない愛を求め、翻弄されながらも、力強く生きる彼女達の歌が、瓦礫の街に今日も聞こえる。

もう一度彼女達に、会いたくなる。愛おしい個性溢れるキャラクター

作品の魅力を語るに外せないのは、出演俳優陣が、舞台を含め20年近く演じ続けているその多彩なキャラクターたち(※一部キャスト変更あり)。

映画「セブンガールズ」s-dances-new_face

一途に恋人を想い待ち続ける「真知」、意地っぱりだけど妹想いな「猫」、心優しくも誰にも言えない秘密を抱えた「マリア」などなど……登場人物が多く、はじめはそれぞれのキャラクターを見分けるのにも戸惑う部分はあるものの、観終えると彼女たち一人ひとりの姿が色濃く心に染み付いていることに気付かされます。日常を切り取った他愛もない会話ややり取りが、彼女たちの緻密なキャラクター像を浮かび上がらせるのです。

映画「セブンガールズ」s-dances-happy

どんな苦難があっても仲間を敬い、必死に前を向く8人それぞれのエピソードがおよそ2時間半の中に凝縮。後になって「ああこんなシーンもあったな」と思い浮かべることができるほどに、彼女たちの「熱量」が溢れています。

観終えた後は、じんわりと心が温かく、そしてもう一度、また彼女達に会いたくなる――……。そんな気持ちにさせてくれる作品はそう多くはないのではないでしょうか。

映画「セブンガールズ」s-dance

彼女たちから感じる「熱量」のワケ

彼女達からほとばしる「熱量」。
これは実際に演じた役者、スタッフ、監督そのものの「熱量」でもありました。

同作品は、舞台作品が映像作品として新たに“生まれ変わった”と書きましたが、監督をはじめ、キャスト、スタッフすべてがほぼ劇団と同じメンバーによって創り上げられました。
“人気舞台作品がついに映画化”というと、大体キャストや監督も変わることがほとんどですが、この作品はそうじゃないのがミソ。“ほかの誰にも演らせない”のコピーから、並々ならぬ気合をもって映像化させたことが伝わります。

20年舞台で生きてきた劇団員たちは、一体どのような映画をつくったのでしょうか?

舞台ならではの“生感”が満載、まったく新しい映画作品

作品を見始めると、始めはおそらく少しの違和感があるかもしれません。固定のカットが続いたり、やたらと出てくる引きの画、長回しを用いたカットの中で繰り広げられる会話劇……そう、まさにひとつの舞台を観ているような感覚に陥ります。映画なのに、舞台の“生感”みたいなものがギュッと凝縮されていて、見ているとそれがクセになってしまうような。そんな不思議な魅力を感じさせてくれるのです。キャラクターを身近に感じられるのも、この効果が大きいのかもしれません。

映画「セブンガールズ」s-dances-shitsuren

ただ、これは狙って作ったわけでもなく、舞台人が創った映画だからこそ生まれた魅力。
低予算映画制作は人件費との戦いで、いかに撮影期間を短くできるかが肝だそうですが、そこで行き着いたのがこの撮影手法。長回しで一気に撮り切り、後から編集することで格段に撮影時間を短縮することに成功しました。カメラは固定位置に置き、クレーン操作で動かしているそう。
もちろん、長回しでの演技は舞台俳優にとって朝飯前。キャストが入れ替わり立ち代わりするシーンでも、出ハケのタイミングは控えの俳優同士で合図を出し合う。ディレクターがいなくても自分達でこなしてしまう、見事なチームワークの成せる撮影だったといえます。

映画「セブンガールズ」s-army_and_panpan

本当に予算300万?本格美術セットにも注目

こんな裏話もありました。シーンの大半を占める彼女たちが暮らす小屋は、終戦直後の色調や雰囲気が忠実に再現し高いクオリティを実現しています。実際、業界関係者からは「本当に予算300万!?」と驚かれるほどだったそう。
実は今回映画化にあたって美術を担当したのは、『悪人』『許されざる者』で日本アカデミー賞優秀美術賞を受賞したこともある美術監督・杉本亮氏。彼が起こしたデザインを元に、劇団メンバーが材料などを自力で調達し完成させました。
あがってきたデザインは「(材料が)用意できるものならしてみなさい」と言わんばかりの高いクオリティで、スタッフも「これ、“億”のセットだよね?」と目を疑ったといいます。
それでも、運良く廃業の旅館を見つけるなど、彼らの“なんとしても成功させる”という粘り強さが反映された渾身のセットとなっているわけです。
そんな細部にも注目してみると、よりいっそう作品への想いを感じることができそうです。

映画「セブンガールズ」s-dances-sensaikoji

渾身の映画作品を、是非劇場で!

“カメ止め”のような奇想天外な仕掛けもなく、ゾンビのような派手な仕掛けもなく、あるのはただただ戦後の復興期を明るく生きたある女性たちの物語。
そしてその裏には、女性たちと同じように、映画の成功を夢見て走り抜けた劇団員たちの希望が詰まっています。

是非、彼女たちの、そしてこの作品の「熱量」を劇場で体感してみてください。

ちなみに筆者が一番好きなのは「あさひ」さん。小屋のリーダー的存在で、責任感が強く優しいけれど、実は誰よりも“乙女”なところが可愛い。彼女の行く末にも是非注目して欲しいです。

INFORMATION

映画『セブンガールズ』
2月2日より東京・下北沢トリウッドで1週間限定上映決定
※公開予定は順次公式サイトにてお知らせ

《出演》
坂崎愛、堀川果奈、安達花穂、河原幸子、藤井直子、斉藤和希、樋口真衣、広田あきほ、斉藤みかん、上田奈々
小野寺隆一、中野圭、安藤聖、織田稚成、津田恭佑、西本涼太郎、新地秀毅、仲田敬治、勝俣美秋、高橋2号、
金子透、有賀さやか、佐野みかげ、蟹沢れい子、神山真琴、小堀英恵、Sham Tear、成田プリン、浅野七海、西本早輝
《監督・脚本・原作》デビッド宮原
《公式サイト》http://sevengirls.info/

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